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WORK vol.2 都市を見つめ続ける“トシケン”が想像する「半歩先の未来」って、 どんな世界?

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  • (左から)
  • 榎本 元 / 執行役員 コミュニケーションデザイン統括担当補佐
  • 水本 宏毅 / 都市生活研究所 所長

これからの「都市における生活文化視点」として、
いま、トシケンが注目するキーワード。

そこで、常に時代の半歩先を見つめ続けている都市生活研究所が、今後の「都市における生活文化視点」として注目する3つのキーワードを挙げてもらいました。

1.シビックプライド(Civic Pride)

19世紀、イギリスの都市で重要視された「シビックプライド(都市に対する誇りや愛着)」。日本語の「郷土愛」とは少し違うニュアンスを持つこの考え方は、定義するならば「都市に関係する人々(その街に住んだり、その街で働いたり、その街へ遊びに来たりする人たち)が、その都市に対して持つ誇りや愛着」という意味です。「ノスタルジアではなく、都市をより良い場所にするために自分自身が関わっているという当事者意識に基づく自負心」とも言えるでしょうか。シビックプライドは、その街に住む人やその街で働く人にとっては、どう街を選び取っていくのかということにつながりますし、街の方からすれば、どう好きになってもらうのか、どうすれば選んでもらえるのかということと強く関わってきます。

私たち都市生活研究所は、このシビックプライドこそ現代社会の都市生活にとても重要な概念で、都市と市民のかかわりをデザインする重要なキーワードであると考えています。そこで、この「都市における生活文化視点」から、シビックプライドに関する2冊の書籍に編集・企画協力しています。

まずは、『シビックプライド 都市のコミュニケーションをデザインする』。バルセロナなどヨーロッパの都市の事例を紹介する「ケーススタディ」、各専門分野の立場からシビックプライドをめぐる「論考」、日本でも新たにシビックプライドを取り入れるための「提案」の全3章で構成されています。本書をきっかけに、ヨーロッパの都市再生のキーワードだった概念を日本に浸透させることができたのではないかと自負しています。

当部門が編集・企画協力した「シビックプライド」と「シビックプライド2」

続いて、『シビックプライド2 都市と市民のかかわりをデザインする』。海外の事例はある種の手本になりますが、一方で、制度・組織形態や市民意識など、私たち日本人の慣れ親しんだものとは異なります。そのため、国内に目を向け、「日本におけるシビックプライド」の事例を集めた一冊となっています。

最近では、シビックプライドという言葉があちこちで使われ、全国の数多くの自治体でもシビックプライドを掲げた取り組みが見られるようになりました。グローバルな都市間競争環境が進む中、日本の都市再生においても、今後さらにこのシビックプライドが重要になると考えています。

2.ビジネス・トゥ・ホーム(B to H)

インターネットの出現は、人々の生活を日々進化させ続けています。ブロードバンドの普及に伴い情報量が格段に増え、静止画だけでなく動画を配信できるようになりました。それまでは個人が趣味でホームページを作り公開していたものが、ブログの登場で誰でも簡単に情報を発信・更新できるようにもなりました。

その波は、ビジネス環境にも影響を及ぼします。音楽パッケージよりも配信サービスで音楽を楽しむ人が増えたり、Webサイトなどを通じて企業が消費者に商品を販売するオンラインショップが増加したりと、小売業の環境も大きく変わろうとしています。さらには、パソコンやタブレット、スマートフォンだけではなく、クルマや家電、工場設備、住宅や身の回りのあらゆる「モノ」に埋め込まれたセンサー、チップ、コンピュータデバイスがインターネットに繋がり相互で通信が可能になる技術や仕組み(IoT=Internet of Things ~モノのインターネット化~)が進んでいます。幅広い産業分野に多大な革新をもたらすこのIoTは、生産の効率化や精緻な販売予測、革新的サービスの創造などが期待されており、企業活動から日常生活に及ぶ幅広い分野に大きなインパクトを与えるでしょう。このように、インターネットやデジタルデバイスの進化とともに、様々な活動・消費が「家の中(イエナカ)」へ参入してきています。

積水化学工業と三菱電機の共同開発 VtoHeim /
三菱自動車アウトランダーPHEV

これからは、停まっているクルマも使う時代。クルマに貯めた電気を使う仕組みへ。
※画像の車両は、仕様及び装備が予告なく変更することがあります。

医療の世界でも、「イエナカ」が始まりつつあります。厚生労働省は、重度の要介護状態になってもできる限り住み慣れた地域で療養することができるように、在宅医療に対する推進策を講じています。

私たちは、この現象を「ビジネス・トゥ・ホーム(B to H)」と定義しています。今までの家のように、人が寝て、起きて、暮らすだけの「単なる場」ではなく、家自体が「多機能化」していくのです。家は暮らす場であるとともに、医療・介護の場であり、映画館であり、お店であり、働く場であり、時には大学の教室になったり、放送局になったりもします。あるいは、家に停めたクルマから電気を取り出して使う仕組みもすでに整備され始めていたり…と、こうした「多機能化した家」が、これからの生活者に対して何をもたらし、何を約束していくべきなのか?家で大抵のことができる環境となっていく中、これからは、外へ出かけないと受けられなかったサービスなどを宅配する市場も伸びるのではないか、と考えています。

3.コンテンツマーケティング(Contents Marketing)

厚生労働省の発表によると、1953年(昭和28年)には5人だった平均世帯人数は、2014年(平成26年)には2.49人にまで減少するなど、各世帯の構成も大きく変化しています。それに伴い、住まいに対する意識も大きく変わりつつあります。今までのような、結婚と同時に賃貸マンション、子供の誕生と同時にマンション購入、子供の成長に合わせて間取りの多い郊外の一戸建、というような一つのシナリオで住宅意識を語れなくなってきています。

また、総務省情報通信政策研究所『情報流通インデックス』によると、人が処理できる情報量は殆ど変っていないものの、インターネットの普及に伴い、情報流通量はこの10年で10倍以上へ急増しているそうです。つまり、世の中に流通しているものの処理されず蓄積し続けている「無駄な情報=ゴミ」も10倍に増えているということです。

ターゲットニーズに合わせ、多角的に切り口の異なるコンテンツを散りばめた「モチイエ女子web」
http://www.mochiiejoshi.com/

このように、「住まいの意識が多様化」し、「有益な情報がスムーズに生活者へ届きづらくなっている」環境において、重要なコミュニケーションのキーワードとして、「コンテンツマーケティング」という考え方があります。

コンテンツマーケティングとは、企業がコンテンツ(編集された情報)により、生活者とコミュニケーションすることを言います。つまり、生活者ニーズに合致する情報を適切にコンテンツとして提供することで、購買行動を促すコミュニケーションです。住宅購入のプロセスが生活者それぞれに多種多様となり、生活者が情報の洪水に晒されている現代では、メディアやコミュニケーションデザインの前に、生活者に提供するコンテンツこそが大切であると考えています。

いま、三井不動産レジデンシャルのプロジェクトで、単身女性を戦略ターゲットに、住宅購入潜在層に向け、本格的に「コンテンツマーケティング」に着手した「モチイエ女子project」を推進しています。首都圏契約数における単身者比率は年々増加傾向にあります。少し前までは、単身女性の住宅購入は「暗い」「寂しい」イメージを持たれがちだったようですが、近年、住宅を購入する女性たちは、そんなイメージとは程遠く、明るくイキイキとした生き方をしている方が非常に多くなっています。現在はまだ少数派の単身女性住宅購入者ですが、これからの社会で中心的存在になることは明らかです。彼女たちの共感を得る企業ブランド構築を行いたいという想いのもと、本プロジェクトが発足しました。

これからの時代は、生活者それぞれのライフスタイルに合わせた生き方を、生活者ニーズや環境に合わせて提供していくことが、コミュニケーションの担い手として最も重要であると考えています。

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